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2017年11月28日 (火)

『経験から学ぶ人的資源管理〔新版〕』演習問題の出題意図と解答のポイント:第6章

このページでは

上林憲雄・厨子直之・森田雅也/著
『経験から学ぶ人的資源管理〔新版〕』
2018年1月刊

第6章の「演習問題」の出題意図と解答のポイントを掲載いたします。

〔1〕第2節で学習したように,人事評価の基準には,能力評価,情意評価,行動評価,バリュー評価,業績評価の4種類がありました。それぞれの基準が何を重視するものかに触れながら,特徴をまとめることが重要です。能力評価は将来的な成果を期待し,その人が保有する潜在的な能力(職務遂行能力)を,情意評価は仕事に対する態度や意欲を,行動評価は成果に直結する行動(コンピテンシー)を,バリュー評価は経営理念に基づく日常業務での行動を,業績評価は目標管理を通して企業目標と個人目標を結びつけ,企業に対する貢献度を,それぞれ評価するものでした。特に,特定の職務で高い業績を発揮する行動特性を指すコンピテンシーと,職種横断的に設定される職務遂行能力には,前者が顕在能力,後者が潜在能力で,性質が異なることを理解しておいてください。さらに,従来の日本企業では,職能資格制度を基軸に能力評価や情意評価が重視されてきましたが,近年のプロフェッショナル化の進展や評価の曖昧性の問題を背景に行動評価や成果評価が中心に行われるようになったこと,またグローバル化により多様な人材の行動に統一化を図ることを目的にバリュー評価が導入されつつあることを,新聞や雑誌の情報にも着目しながら,まとめてください。

 

〔2〕人事部へのインタビューや,人事制度に関する社内資料をもとに,所属組織で採用されている人事評価の基準を調べてください。ただし,難しい場合は,上司がどのような基準を重視して自分を評価しているか,聞き取りをしてみましょう。また,自社の人事評価の優れている点と問題点については,〔1〕でまとめた,4種類の人事評価の基準のメリットとデメリットを整理して,分析することがポイントになります。問題点が抽出された場合には,解決策まで提示できれば望ましいです。例えば,全員一律に成果評価が重視されている組織があるとすれば,営業部門は数値目標が明確なため成果評価や行動評価の割合を多くし,生産部門は技能伝承やチームワークが求められるため能力評価や情意評価の比重を高めるなど,各職種の仕事特性に応じて評価基準を変える,といったアイディアが挙げられます。

 

〔3〕上司から部下へのフィードバックの技法に工夫が求められるようになります。例えば,部下のタイプ別のフィードバックや,フィードバック面接で不適切なキーワードなど,フィードバックの効果を高める努力がこれまで以上に求められます。そうは言っても,実践するのは簡単なことではありません。フィードバックの成功体験を社内で共有してロールプレイなどで教育することが重要ですが,その蓄積がない場合は公開されているノウハウ(例えば,中原淳[2017]『フィードバック入門―耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術』PHP研究所)をもとに自身のフィードバックを始めてみることも必要でしょう。また,本章で説明したように,パフォーマンス・マネジメントには,複数回のフィードバック機会が設定されます。フィードバックの回数が多くなるほど,上司にとって負担になる可能性があります。そのため,一問一答の閉鎖質問と5W1H型の開放質問を組み合わせるなど,時間を短縮しつつフィードバックの質を高める試み(例えば,井川浩輔・厨子直之[2012]「人事評価面接の会話分析(3):看護師の成長的サポートに関するケース」『琉球大学経済研究』No.83pp.15 -27)も,パフォーマンス・マネジメントを成功させるポイントになります。

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