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2017年11月27日 (月)

『経験から学ぶ人的資源管理〔新版〕』演習問題の出題意図と解答のポイント:第1章

このページでは

上林憲雄・厨子直之・森田雅也/著
『経験から学ぶ人的資源管理〔新版〕』
2018年1月刊

第1章の「演習問題」の出題意図と解答のポイントを掲載いたします。

〔1〕企業を経営する上で必要となる経営諸資源のマネジメントにおいて,ヒト資源のマネジメントだけが有している特徴を精確に理解することがポイントになります。

4節,1417ページに書かれている内容(具体的には,ヒトが他の資源を動かす原動力であること,ヒトは思考し,学習し,成長する存在であること,したがって管理者の好き勝手には使えないこと,ヒトの管理に関するイノベーションは簡単にはできないこと)について,まとめてください。最も重要なポイントは,人的資源管理では,他資源のマネジメントとは違って,管理されるべき対象が生身の人間であり,そのため管理者が管理されるべき対象に対して気を遣わなければならないという点です。

〔2〕図書館に所蔵の『会社年鑑』や企業のウェブサイト等で,組織図が掲載されている箇所を調べてみましょう。例えば,パナソニックであれば,本社部門の中に「人事グループ」「キャリア開発センター」「人材開発カンパニー」など,「人事」や「キャリア」「人材」などの用語が使い分けられていることがわかるはずです。ヒトの中でも,とりわけ女性の活躍推進にフォーカスを当て,「女性かがやき本部」という部署が社長直属で設置されている時期もありました。また,インターネットで企業のウェブサイトを検索すると,森永乳業やブックオフコーポレーション,帝人グループなどでは「人財部」という呼称が使われていることがうかがえます。


〔3〕シナリオとしては,「収斂[しゅうれん]説」,「拡散説」,「部分的収斂説」などの類型を考えることが可能です(「収斂」とは,互いに異なる何らかの事象が1つの類似の形態にまとまっていくこと,「拡散」とはその逆で,1つの形態が異なる多様な方向へ変化していくことを指します)。変化を推し進める要因としては,経済のグローバル化の進展,技術革新などを挙げることができ,変化に抗う要因としては,地域特性や文化風土などの歴史的・社会的要因を挙げることができるでしょう。これらの諸要因のうちのどういった具体的要因が,なぜ,いつ,どのように作用し,結果として将来的にどのようになっていくのか,自分なりの理屈を立てて緻密に記述することがポイントとなります。いずれの説に依拠しても構いませんが,解答に論理的一貫性をもたせることが肝要です。現下のグローバル化しつつある世界情勢や人事施策の「同型化」の議論に鑑みれば,完全な「収斂説」や「拡散説」に依拠して解答するのは理屈を立てるのが難しく,「部分的収斂説」に依拠するのが解答しやすいでしょう。

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