編集室の窓:『書斎の窓』2012年9月号に掲載
ロンドン・オリンピックの大興奮から3週間,夏の疲れを吹き飛ばす勢いの力作が,この秋の政治学分野に並びます。
まずは,中東の事例を政治学分析の俎上に乗せて他地域との比較を可能にしようとする野心的なテキスト,酒井啓子編『中東政治学』です。15人の中東研究者が,主要な国々の政治変動を,政治体制・社会運動・国際政治の側面から分析・解説します。
新進気鋭の研究者による意欲作3作が続きます。青野利彦『「危機の年」の冷戦と同盟』は,人類が核戦争の深淵を覗いた,ベルリン危機からキューバ危機,部分的核実験禁止条約締結に至る「危機の年」の東西両陣営内部の状況や第三世界各国の動きを活写し,国際的危機における超大国アメリカとその同盟国の関係を考えます。中島琢磨『沖縄返還と日米安保体制』は,今年40周年を迎えた沖縄返還の交渉過程を,新たに公開された一次史料や,当事者・関係者の日記・回想録,著者自らの聞き取り調査を用いて実証的に解明します。木寺元『地方分権改革の政治学』は,アイディアに着目した政治アプローチを用いて日本の地方政治改革を分析し,制度はどのようなときに変化するかを明らかにします。
さらに年末にかけて,渾身の作,中西寛・石田淳・田所昌幸『国際政治学』(NLAS)などが待機しています。(Y. S)