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昨年の出版界は黒船「電子書籍」号に話題を独占された観がありました。今年はどういう一年になるのでしょうか。世間がどうあれ、私たちは本年も自らのポリシーで本をつくってまいります。
さて、書籍編集第二部からは昨年末に、意欲的な書籍が次々と刊行になりました。
まず、公共政策学とは何か、どう教育されるべきかを考える秋吉貴雄先生たちの『公共政策学の基礎』、政府は何を担うべきか、私たちは政策をどのように評価すべきかを考える林正義先生たちの『公共経済学』、現代社会のグローバル化を見据え、共生可能な社会を構想する西原和久先生・油井清光先生編『現代人の社会学・入門』、「感情」研究から見える新たな人間観を示す大平英樹先生編『感情心理学』などいった教科書があります。
加えて研究書にも、より良き統治を実現するにはシビック・パワーが必要と説く坂本治也先生の『ソーシャル・キャピタルと活動する市民』、性と雇用形態に中立な同一価値労働同一賃金の実現をめざす森ます美先生・浅倉むつ子先生編『同一価値労働同一賃金原則の実施システム』などの力作が目白押しです。
本年もご期待ください。(Y.S.)
『経営の経済学 新版』
A5判上製カバー付,338ページ,定価 3,045円(本体 2,900円)
ISBN 978-4-641-16376-8
2011年1月刊
◇ ビジネス・エコノミクスの新展開 ◇
池尾恭一・青木幸弘・南知惠子・井上哲浩/著
『マーケティング』
2010年5月刊行
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上書の刊行を機に著者の四先生がリレー形式でご執筆くださいました,「マーケティングの『いま』をみつめて」(『書斎の窓』掲載,全4回)が,完結いたしました。
これまでも本ブログにてご紹介してまいりましたが,以下に全回分をまとめて転載いたします。ぜひご覧ください!
◆ マーケティングの「いま」をみつめて ◆
峯陽一・武内進一・笹岡雄一/編
『アフリカから学ぶ』
2010年9月刊
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『外交』(時事通信社,第4号)に書評が掲載されました(評者は星野俊也先生・大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)。
根ヶ山光一・柏木惠子/編著
『ヒトの子育ての進化と文化
――アロマザリングの役割を考える』
2010年7月発行
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『書斎の窓』(2011年1・2月号)に掲載された書評をお読みいただけます(評者は,内田伸子先生・お茶の水女子大学教授)。
◆子育ては「親業」か◆
親の子育て力が今日ほど取り沙汰されることはなかった。「親業」という用語が冠される育児書も多く出版されている。子育ては「親の仕事」という認識の現れである。子育て番組も多く組まれている。これほどまでに子育てに人々の関心が向けられるようになったのは、日本社会のコミュニティ(生活共同体)が壊れ、社会の育児機能が失われたことと軌を一にしている。
R.ブル (レスター大学教授)ほか/著
仲 真紀子 (北海道大学教授)/監訳
『犯罪心理学
――ビギナーズガイド:世界の捜査,裁判,矯正の現場から』
2010年9月刊
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監訳者の仲真紀子先生が,『書斎の窓』(2011年1・2月号)に寄稿されたエッセイ「法と心理学のおもしろさ」をお読みいただけます。
◆法と心理学のおもしろさ-- 『犯罪心理学――ビギナーズガイド』の出版に向けて◆
仲 真 紀 子
私は大学で純粋な(?)実験心理学を学び、記憶やコミュニケーションの研究をしていたが、いつの間にか法と心理学という学際的な領域に関心をもつようになり、今では研究の大半がその領域に関するものとなっている。このような領域に身をおくことになったきっかけを紹介しながら、法と心理学のおもしろさを伝えられればと思い、これを書いている。
石原 武政 (関西学院大学教授)
西村 幸夫 (東京大学教授)/編
『まちづくりを学ぶ――地域再生の見取り図』
2010年9月刊
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著者の石原武政先生が,『書斎の窓』(2011年1・2月号)に寄稿されたエッセイ「まちづくりのひろがり」をお読みいただけます。
◆まちづくりのひろがり◆
石 原 武 政
まちづくりとの出会い
私が「まちづくり」と出会ったのは、一九八八(昭和六三)年の早春だった。商業論を専攻している私は、当時、同志社大学商学部の教授だった石井淳蔵さん(現・流通科学大学学長)と共に、大阪商工会議所の商店街活性化プロジェクトのお手伝いをしていた。現場をほとんど知らない私たちが、集められた資料を見ながら議論しても、これぞという手ごたえのあるアイディアは浮かんでこなかった。
池尾恭一・青木幸弘・南知惠子・井上哲浩/著
『マーケティング』New Liberal Arts Selection
2010年5月刊行
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『書斎の窓』(2011年1・2月号)に掲載の,井上哲浩先生による「リレー連載・マーケティングの「いま」をみつめて」 (第4回)「ICTの進展とマーケティング戦略」をお読みいただけます。
◆ICTの進展とマーケティング戦略◆
井 上 哲 浩
この数年で、また新たなICT(情報通信技術)機器が販売された。iPhoneの3Gが発売されて早や二年であり、巷ではスマートフォン競争が激化しているようである。そしてiPad発売から、半年以上が経過している。興味をもって行方を観察している程度の筆者は、いずれも所有していない。かといって、ICTと無縁ではなく、むしろ二〇年以上も、その便益を享受させて頂いている。さらには一〇年以上も、ICT環境下でのマーケティング戦略をも研究対象とさせて頂いている。そんな筆者からの本稿におけるメッセージは、「本質への回帰」である。
尾高煌之助・松島茂・連合総合生活開発研究所/編
『イノヴェーションの創出』
2010年5月刊
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著者の松島茂先生が,『書斎の窓』(2011年1・2月号)に寄稿されたエッセイ「トヨタ技術者のオーラル・ヒストリー」をお読みいただけます。
◆トヨタ技術者のオーラル・ヒストリー――『イノヴェーションの創出』の刊行によせて◆
松 島 茂
製品技術・生産技術・製造技術の相互作用
昨年五月、『イノヴェーションの創出――ものづくりを支える人材と組織』(尾高煌之助・松島茂・連合総合生活開発研究所編)を刊行した。二〇〇七年五月に連合総合生活開発研究所に設置された「グローバル経済下の産業革新と雇用に関する研究委員会」の三年間にわたる共同研究の成果である。本研究会は、参加メンバーができるだけ企業の関係者や生産現場を訪問して、インタビューや現場観察を行い、それに基づいて議論を深め、それをベースとして執筆するという方針で行った。それをまとめる過程で、筆者が作業仮説として提示したものが、本書第1章の「製品技術・生産技術・製造技術の相互作用」によってらせん状的にイノヴェーションが創出されるという考え方である。
峯 陽一 (同志社大学教授)
武内 進一 (JICA研究所上席研究員)
笹岡 雄一 (JICA研究所上席研究員)/編
『アフリカから学ぶ』
2010年9月刊
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著者の武内進一先生が,『書斎の窓』(2011年1・2月号)に寄稿されたエッセイ「アフリカから学ぶ」ということ」をお読みいただけます。
◆「アフリカから学ぶ」ということ◆
武 内 進 一
私たちのスタンス
『アフリカから学ぶ』という、ちょっと変わった本を出版することができた。タイトルからわかるように、アフリカという地域を扱っているが、扱うテーマの範囲はかなり広い。全体で一五の章から構成され、歴史やジェンダーに関わる第Ⅰ部、紛争や難民について論じる第Ⅱ部、経済開発・社会開発を扱う第Ⅲ部、分権化、民間交流、政府開発援助を論じる第Ⅳ部に分かれる。執筆者も多彩で、私のようなアフリカ研究者と、国際協力機構(JICA)や国際機関、NGOなどで長年開発の実践に携わってきた方々が、ほぼ半分ずつ執筆を分担した。