『入門・日本経済』第8章(財政) 練習問題解答
1 公的部門と民間部門の経済活動が競合する例をあげ,政府の役割について考えよ。
(解答例) 病院,大学,バス,宅配便,郵便局,年金,保険,林業,清掃など。これらの中には,当初は技術的に困難か費用が高価すぎたために民間部門での供給がなかったものの,やがて需要増等のため一部のサービスが民間部門でも採算に乗り出したもの(宅配便,年金や保険,清掃),もともと民間部門よりも安い料金で供給するのが目的であり補助金的色彩の濃いもの(病院,大学),当初より競合するものの効率性以外の観点から供給されているもの(バス等の交通機関,林業),とさまざまな経緯がある。
2 諸外国と比べながら日本の財政制度の特徴を述べよ。
(解答例) 略。本章の第2節を参照し,とくに政府の範囲,予算の編成過程,財政投融資制度,国の財政と地方財政の関係,などに注目せよ。また,直接税と間接税の比率(直間比率),国民負担率,公債の発行残高等の数値も参考にすること。
3 近年,公共投資による景気浮揚に批判的な見解が影響力を増してきている。その根拠とそれに対する反論をまとめよ。
(解答例) 根拠としては,公共投資の景気浮揚効果(乗数効果)が低下してきていること,ハーベイロードの前提には無理があり,タイミングよい市場介入は困難なこと,公共事業の中には無駄なものがあること,財政に余力がないこと,などがあげられる。これに対する反論としては,乗数効果が低下したようにみえるのは公共投資の真水部分が少ないのが原因,真に必要とされる公共事業はいまだたくさん残っている,景気対策が景気浮揚をもたらせば税収増となり財政赤字は減少する,といった点が強調される。
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