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2010年8月19日 (木)

付加データ:『経験から学ぶ人的資源管理』 「演習問題の出題意図と解答のポイント」第5章

上林憲雄・厨子直之・森田雅也/著
『経験から学ぶ人的資源管理』

2010年10月刊
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第5章「組織は人をどのように育てるのか」
演習問題(116ページ)の出題意図と解答のポイント


〔1〕
まずは,第2節を読み直し,人を育てる方法には,職場内で行われるトレーニングと職場外で行われるトレーニングの大きく2種類があり,前者をOJTと呼び,後者にはOff-JTと自己啓発と呼ばれるプログラムがあることを整理してください。

(上より続く) OJTは上司や先輩から仕事に直結する知識を教えてもらい,それを仕事で実践しながら習得する訓練方法であること,Off-JTや自己啓発は実践知識を体系的に結びつける原理原則を学習する教育手法であることを,それぞれ理解することがポイントです。また,Off-JTの具体的なプログラム(階層別研修,職能別研修,特定課題別研修)内容については,2-2(1)の記述内容を参考に,表に整理してみましょう。さらに,第3節で説明したように,最近の日本企業においては,エンプロイヤビリティが強調され,組織主導の人材育成から,個人と組織の両方に育成責任を求めるという考え方に変化していることを押さえてください。ただし,注意すべきことは,本文中の高島屋や東レの事例でみたように,日本企業において,選択と選抜のバランスを図った仕組みが展開されている点です。これが日本型エンプロイヤビリティの根底にある発想ですので,もう一度確認しておいてください。

〔2〕
所属組織において,教育・研修の効果をどのように測定しているか,人事部にインタビューしてみましょう。ただし,難しい場合もありますので,所属部署で教育・研修を実施した際,受講者に対して,次のようなステップで,教育・研修の成果を把握してみてください。一般的に,教育・研修の効果の測定には,カークパトリックの4段階評価モデル(Kirkpatrick, D. L. & Kirkpatrick, J. D.(2006)Evaluating Training Programs: The Four Levels, 3rd ed., San Francisco, Calif.: Berrett-Koehler.)が用いられます。まず,レベル1「反応」段階では,研修内容に対して,受講者が満足しているかを調べることです。通常,研修終了後にアンケートを実施して,研修内容や理解度などを5段階で受講者に評価してもらうことになります。ただし,学習者の満足度が高いからといって,必ずしも効果があったとはいえません。研修を受けることを通じて,どの程度スキルや知識が習得できたかをチェックする必要があります。それがレベル2「学習」段階です。この段階では,語学テストや技能テストといった筆記試験や実技試験を実施して,学習水準を判定することになります。次に,知識やスキルが身についたとしても,それが実際の仕事で応用できていなければ,いわゆるお勉強の域にとどまってしまいます。研修後,学んだ内容を実践してみてどのような気づきがあったかという,学習者の行動や態度に対する研修による影響を調べることが必要です。この測定が行われるのが,レベル3「行動」段階です。本人の行動を観察したり,部下の行動変容について上司にインタビューしたりすることで,教育・研修効果を把握します。最後に,組織のパフォーマンスへの影響を測定するのが,レベル4「結果」段階です。研修終了後に,売上高や顧客満足度など,組織全体の成果を測る指標が,どの程度改善されたかが調べられます。レベル1と2で短期の成果,レベル3と4で長期の成果を捉えることになります。

〔3〕
企業の採用情報や人事制度を紹介するページを閲覧すると,日本や海外のビジネススクールに,毎年何名派遣したかという実績まで掲載しているのをよく目にします。これには,エンプロイヤビリティに対する社会的な注目の他に,企業の宣伝の狙いがあることを指摘する人事担当者がいます。要するに,「わが社には,これだけ教育訓練プログラムが充実しています」ということをアピールする目的です。ただ問題は,MBA(経営学修士)を取得後,その人が転職すれば,企業の教育投資が無駄になってしまうことです。しかし,企業は自律型キャリアを支援する仕組みを宣伝することよって,企業の魅力度を高め,有能な人材を集めやすくなる,という効果があるようです。したがって,宣伝効果による優秀人材の採用率と,転職による教育コストの増減を天秤にかけて,企業はエンプロイヤビリティ向上に関連する施策を,どの程度展開するかの意思決定をすることになるでしょう。なお,自律型キャリアを支援する実際の仕組みについては,新聞や企業のホームページの他に,『労政時報』,『人材教育』,『月刊人事マネジメント』,『人事実務』といった人事系の専門雑誌において,最新事例が紹介されています。これらの雑誌記事を図書館で検索し,ここ数年で取り上げられた仕組みを比較して議論してみても,おもしろいでしょう。

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