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2010年8月19日 (木)

付加データ:『経験から学ぶ人的資源管理』 「演習問題の出題意図と解答のポイント」第13章

上林憲雄・厨子直之・森田雅也/著
『経験から学ぶ人的資源管理』

2010年10月刊
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第13章「多様化する雇用形態を組織はどう管理するのか」
演習問題(301ページ)の出題意図と解答のポイント

〔1〕
第1節の内容をもとに,「契約社員」,「嘱託社員」,「パート・アルバイト社員」,「派遣社員」,「請負社員」という5種類の非正社員の雇用形態について,「雇用契約を結ぶ相手」(直接雇用か間接雇用か)と「雇用契約の期間」(有期雇用か無期雇用か)の2つの観点から,それぞれの特徴をまとめることがポイントです。

(上より続く) 本文中では図(図13-1)を使って説明しましたが,表に整理することもやってみてください。最近,非正社員の雇用に関わる法律がめまぐるしく変化していますので,法規制の動向にも注目してまとめることも重要です。また,日本企業における雇用形態の変化についてですが,厚生労働省や総務省統計局などのホームページを閲覧すると,雇用に関する統計調査のデータが掲載されています。それらのデータを参考に,時系列的に年代を区切ってグラフを作成するなどして,非正社員の雇用形態の種類や人数の大まかな動きをまとめてみてください。例えば,90年代初頭のバブル経済崩壊以降,非正社員数が増加傾向にあったが,非正社員の正社員化が進められつつある今日,正社員の数が微増している,という動きがグラフから読み取れるかもしれません。

〔2〕
まずは,第4節を読み直し,基幹化には「量的基幹化」と「質的基幹化」の2種類があり,従来,正社員が担当していた管理・指導や判断を伴う業務など,高度な仕事を非正社員が担当するようになる現象を指して,「質的基幹化」と呼ぶことを押さえてください。質的基幹化の程度は,「担当職務の数」,「職務内容」(業務の非定型化の程度),「責任の重さ」(利益目標が求められる程度),「正社員と非正社員との仕事の重複度」などを調べることによって,測定することができます。また,正社員並みに働く非正社員に対して,責任ある地位に登用する仕組み(社員格付け制度)や,能力や成果に応じた処遇(人事評価や報酬管理)の仕組みが存在するかなど,非正社員に適用されている人的資源管理に関わる諸制度について,細かく調べてみましょう。正社員と非正社員の間で,処遇の仕組みに統一化が図られている場合は,どのように両者の間でリンクしているかを詳細に分析してください。統一化がなされていないケースでは,人的資源管理の諸制度のうち,特にどの領域に問題があるかを検討し,本文中で事例に取り上げたイオンのコミュニティ社員制度を参考に,具体的な方策を考えてみてください。

〔3〕
コミュニティ社員制度を忠実に運用していくうえで直面する問題の1つは,常に登用可能なポストを用意しておかなければならないことです。例えば,副店長のポストをつくるためには,複数の店舗を出店する必要がありますが,景気が低迷したときには,店舗を増やすことは困難となります。こういう状況が続くと,ほとんどの従業員が実際にポストに就けず,モチベーションが低下する可能性が出てくるでしょう。解決策としては,登用基準を厳格化する,職能資格制度の資格(等級)をステップ・アップできる段階を増やし,ポストではなく処遇面でのインセンティブを高める工夫をする,などが考えられます。もう1つの問題は,有能な非正社員が出現するようになると,雇用が保障された無期雇用の正社員になりたい非正社員が出てくる(非正社員の正社員化)可能性が高まることです。2009年頃から「非正規切り」という名の非正社員の大量失業が社会問題となり,正社員ブランドが重視される今日,正社員を望む非正社員がますます増えると推察できます。ところが,イオンのように不採算店の閉店と新規出店を基本戦略とし,一地域に複数店舗を出店する小売業のケースでは,閉鎖店の従業員をすべて特定の店舗で吸収するのは困難であり,雇用調整の柔軟性がビジネスを展開するうえで求められます。そのため,解雇法制が厳しい正社員のみを抱えるのはリスクが高く,非正社員を活用して出閉店に応じた雇用調整を図る必要があるわけです。このように均衡処遇の仕組みを議論する際,企業戦略と密接に関連づけて検討することが重要です。例えば,非正社員の正社員化を行ったロフトと有期雇用の形態の社員を維持したままのイオンを比較し,それぞれの戦略の違いに着目して,イオンのコミュニティ社員制度の今後の方向性を議論してみてください。

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