付加データ:『はじめて出会う会計学』 学習サポートページ
川本淳・野口昌良・勝尾裕子・山田純平・坂井映子/著
『はじめて出会う会計学』
有斐閣アルマInterest
2009年4月刊行
*本書の正誤表,ならびに第2刷(2011年3月30日刊)に際して,本書の【トランジット】で紹介されている文献情報のアップデートを一覧表にして掲載しています。訂正箇所につきまして,ご迷惑をおかけして申し訳ございません。お詫びして訂正いたします。
以下は,演習問題(本書巻末掲載と同じです)とその解答例です。解答例は各章の問題の下にあるリンクからダウンロードしてください。
第1章:会計の目的
【1-1】
「大学ごとにバラバラな成績表の作成方法を,できれば全世界規模で,統一しよう」という意見は誰でも思いつくものでしょう。それでは,それによって得られるメリットとしては,どのようなことが考えられるでしょうか? もし,統一が難しいとしたら,その理由は何でしょうか? また,仮に統一ができたとして,それによってもたらされるデメリットはないのでしょうか?
【1-2】
「国ごとにバラバラな決算書の作成方法を,できれば全世界規模で統一しよう」というのは現にいま,会計の世界で進められている話です。これと,上で考えた大学の成績表の話とでは,なにが違うか,考えてみましょう。
第2章:会計基準と会計制度
【2-1】
会計情報を会社の外部の人たちになぜ開示しなければならないのか,その理由について,そこで前提とされている状況についても配慮しながら論じましょう。
【2-2】
会計基準が設定されるときにはどのようなことに気をつけなければならないのかを考えましょう。
→第2章の解答例はこちら
第3章:収支の期間配分
【3-1】
会計上の利益計算は,企業の生じるキャッシュフローをどのように配分するかで決まります。そして,キャッシュフローをどのように配分しても,投資期間トータルの利益はかわらないということを第3章で学びました。期間を通した損益は変わらないはずなのに,なぜそのような利益情報を投資家が利用したり,あるいは経営者が利益操作を行ったりするのでしょうか?
第4章:利益の認識と測定
【4-1】
第4章のハイライトに登場した日本P船について,あなたが社長だったら,この太平洋クルーズからの売上高を2000年度にどれだけ計上しますか? その金額の根拠は何ですか? また,費用はどうやって記録しますか?
第5章:複式簿記
【5-1】
勘定科目群A「売掛金」「借入金」「機械」「現金」と勘定科目群B「支払利息」「受
取利息」「売却益」の違いをいろいろとあげてみましょう。
【ヒント】
勘定科目群AとBとでは,表示される決算書の種類が違うことに注目しましょう。貸借対照表に表示されるのはどちらで,損益計算書の表示されるのはどちらでしょうか?
第6章:資産・負債の認識・測定
【6-1】
貸借対照表に載っている資産や負債は,一般的な通念とは必ずしも一致していません。財務会計における「資産」や「負債」とはどのようなものでしょうか?
【6-2】
貸借対照表に資産や負債を載せるときには,いくらで記入すればよいでしょうか? 資産・負債の測定額にはどのようなものがあるかを考え,そのなかからどれを選べばよいかを論じましょう。
第7章:資本会計
【7-1】
当社は,手元に現金がないので,現金で配当する代わりに,株式で配当することにしました。この場合,会社はどのような処理をするか考えてみましょう。たとえば,全株主(10人とします)に1株ずつ(1株当たりの株価は100円とします)を渡した場合,会社にはどのようなことが起きたといえるでしょうか?1,000円の価値がある自社の株式を渡しているのだから,1,000円の費用を計上するのでしょうか?
【7-2】
今度は逆に,自社の株式をタダでもらった場合を考えてみましょう。たとえば,AさんとBさんという2人の株主がそれぞれ100円ずつ出資していた会社があったとして,Bさんが持っていた株式(株価は200円とします)を,タダで会社がもらったときに,会社は儲かったということになるでしょうか? または,なぜ儲かったといえないのでしょうか?
第8章:決算書の分析
【8-1】
興味のある企業の決算書をみつけて,表8-6にある比率を求めてみましょう。求めた比率は,表8-6の企業と比べてどのような特徴があるかあげてみましょう。
【8-2】
決算書を分析することで,企業のことがある程度わかってくることは事実ですが,それでは十分わからないことがあることも事実です。そこで,決算書の分析により,わかる部分とわからない部分をそれぞれまとめてみましょう。
第9章:会計単位
【9-1】
ライブドアは,投資事業組合という事業体を用いて,利益を出していたといわれています。この仕組みを理解するために,簡単な例で考えてみましょう。たとえば,A社は自社株を投資事業組合に50億円で売りつけて,投資事業組合は株価が上がったときに,A社株式を100億円で市場に売却したとします。さらに,投資事業組合は,100億円と50億円の差額である50億円をアドバイス料としてA社に支払ったとしましょう。このとき,A社が投資事業組合を決算書の範囲とするかしないかで,利益と資本の額はどう変わりますか?
【9-2】
実際のセグメント情報は,どのように開示されているでしょうか。興味のある企業のセグメント情報をみつけて,セグメンテーションの仕方や共通費の配分方法について調べてみましょう。
第10章:会計情報の役立ち
【10-1】
どのような出来事によって株価が上がったり下がったりするでしょうか? また,その出来事は会計利益と関係があるでしょうか? 関係あるとしたらどのような形で株価に反映されるでしょうか?
【10-2】
経営者は利益を多く見せたいという動機をもったり,逆に少なく見せたいという動機をもったりします。どのようなケースにおいて多く見せたいと思い,どのようなケースにおいて少なく見せたいと思うでしょうか。
第11章:監査と粉飾
【11-1】
監査はなぜ必要なのかについて,さまざまな視点から論じましょう。
【11-2】
粉飾決算が,なぜいけないことなのかを考えましょう。
第12章:費用配分のバリエーション
【12-1】
(株)和美社は雪駄(せった)を生産して販売しています。今年度新発売する最高級モデル「RIQ」は100足を生産するのに300万円の経費が掛かります(ケースA)。しかし,1,000足だと大量生産による経費節減効果により1,000万円で済みます(ケースB)。
さて,今年度において,(株)和美社はRIQを単価5万円で90足販売し,450万円を売り上げたとしましょう。このとき,少量生産のため売れ残りが10足しかないケースAと,910足が売れ残りとなってしまうケースBとでは,今年度の利益が多いのはどちらでしょうか?
【12-2】
減価償却途中のトラックを売却するケースでは,定額法で減価償却していると,売却するまでの減価償却は定率法を採用していた場合よりも少なくて済む代わりに,売却益は定率法を採用していた場合よりもマイナスになってしまうのでした。このことをふまえ,あなたが企業の社長だったら,減価償却の方法として,定額法と定率法とのいずれを採用したいと考えますか?
【12-3】
「引当金を利用してV字回復を演出する」とはどういうことでしょうか? 会計に詳しくない友だちに説明してみましょう。もし聴いてくれそうな友だちがいない場合は,友だちに説明するつもりで文章をつくってみましょう。