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2008年8月28日 (木)

特集:環境問題について考えよう 5(完)

最後に紹介するのは,温暖化問題などの地球環境問題に世間の耳目が集中する一方で,決して見過ごしてはならない「環境被害の責任と費用負担」という問題に正面から取り組んだ大変有意義な一冊です。

■ 環境被害に対する責任を問う

最近では洞爺湖サミットの影響もあってか,地球環境問題ばかりにスポットライトが当てられているようですが,アスベスト災害や自動車排ガス汚染などの「公害問題」について,この特集で取り上げないわけにはいきません。温暖化対策のように将来起こりうる危機的状況を回避するための方策を考えることと同じくらいに,公害問題で現実に苦しんでいる人びとの辛さを,できるかぎり軽減することのできる制度を考えることも大切なのではないでしょうか。

163096そのような問題意識を持って学ぶことができるのが,昨年末に刊行された『環境被害の責任と費用負担』です。本書では,熊本水俣病や大気汚染公害などの代表的な事例を取り上げ,経済学的視点から,環境被害に対してあるべき責任と費用負担の考え方が提示されます。

この特集の第3回第4回で取り上げた書籍が主に分析しているのは,環境税や排出権取引のように,制度を変更することによって人びとの行動を変化させ,効率的な社会状況を実現しようとする「事前的対策」です。一方,本書で扱うのは,実際に公害問題が起きた場合,被害補償や原状回復をどのような費用負担のもとに行っていくかを分析する「事後的対策」です。

将来の環境被害や政策効果を正確に予測することが難しい環境問題であるほど,本書のような事後的対策の研究がますます求められることになるはずです。これからの環境政策を考えるうえで,ぜひ読んでいただきたい一冊です。

→特集第4回はこちら
→特集第3回はこちら
→特集第2回はこちら
→特集第1回はこちら

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