特集:環境問題について考えよう 4
今回は,いま話題の排出権取引や環境税などの経済的手法を用いた環境政策がなぜ有効であるのかを,基礎からしっかりと学びたいという方に最適な,環境経済学の新しいテキストを紹介します。
■ 特徴的な3冊の新テキスト
環境経済学の学習には,今年6月に刊行され,環境経済学の進展と研究領域の拡大を踏まえてまとめられた,『環境経済学講義――持続可能な発展をめざして』(有斐閣ブックス)や,経済学部以外の学生にも配慮して丁寧に説明された『環境経済学をつかむ』(テキストブックス[つかむ]),そして,理論・政策・事例をバランスよく取り入れ体系的に解説された『環境経済学』(有斐閣アルマ)がお薦めです。
3冊の帯の文言を抜き出して,それぞれの特徴を簡単に紹介しましょう。
『環境経済学講義』
「開発・成長」と「保全」の両立を図る
「持続性」「グローバル化」「発展」を前面に出して議論を展開し,環境政策手段論としての自主的取り組みやポリシー・ミックスを明確に位置づけ,また環境評価論に紙幅を割いて説明されています。
『環境経済学をつかむ』
環境はタダでは守れない
経済学の知識を持たない読者を前提に,初歩的な理論から環境問題の分析を始め,環境評価論をやさしく丁寧に解説,さらに温暖化政策の最新の動向や,類書では取り扱われることの少ない環境経営・会計,経済実験などの新しいトピックスが盛り込まれています。
『環境経済学』
環境問題の解決のために経済理論はいかに貢献できるのか
環境問題のメカニズムを解明する際に,経済理論による分析がいかに有用であるかが詳しく説明されています。また,自主協定や地方の環境関連税制,デポジットの取り組みなどが詳細に紹介されています。
また,『環境経済・政策学の基礎知識』(有斐閣ブックス)は複雑化・広範化する環境問題に関わる重要なキーワードを調べるのに大変便利な事典的テキストです。こちらも是非,一度お手にとってご覧ください。
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