特集:環境問題について考えよう 2
今回は,環境政策を考えるうえで,大変面白い視座を与えてくれる書籍を紹介します。洞爺湖サミットに先駆けて発表された「福田ビジョン」の中で引用された研究成果も収録されている,注目の一冊です。
■ 「福田ビジョン」にも取り上げられた調査
サミット開始のおよそ1カ月前,日本記者クラブにおいて,「『低炭素社会・日本』をめざして」と題し,福田康夫首相によるスピーチが行われました。この中で,次のような研究(調査)が紹介されたのをご存知でしょうか?
「あまり知られてないことでありますけれども,既にわが国の76の自治体が,地域内に民生用電力需要を上回る再生可能エネルギー電源を保有しているという調査がございます。こういった取組をさらに全国に広げることで,日本が世界をリードしていくことがであります」(福田内閣総理大臣スピーチ『「低炭素社会・日本」をめざして』)
この調査のもとになったのが,倉阪秀史・千葉大学教授,永続地帯研究会が行った「エネルギー永続地帯」研究の成果です。
「永続地帯」とは,「その区域で分散的に得られる資源によって,その区域におけるエネルギー需要と食糧需要のすべてを賄うことができる区域」のことであり,地域性を生かしてエネルギー政策を展開し,「永続地帯」を広げていくことで持続可能な社会をめざす,大変興味深い研究です。
この研究については,今年の2月に刊行された『「環境と福祉」の統合――持続可能な福祉社会の実現に向けて』の「第8章 永続地帯の提案」で詳しく紹介されています。このほかにも,「気候変動・年金税制改革」など,「環境」と「福祉」の両分野を統合してとらえることから生まれる,魅力的でユニークなアイデアが紹介されていますので,興味を持たれた方は,ぜひご一読を。
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