編集室の窓:『書斎の窓』2005年12月号に掲載
今月は,政治学・国際政治学系の近刊が目白押しです。
まず,信頼できる基本テキストとしてお薦めの2冊です。川崎修・杉田敦編『現代政治理論』は,気鋭の執筆者8名が,20世紀の政治理論について,論理の筋道や構成を丁寧に解きほぐして伝えます。五百旗頭真編『戦後日本外交史〔新版〕』は,吉田茂賞を受賞した定評ある初版を改訂したもので,9.11テロ事件以後の日本外交までを取り上げています。
対してヘンリー・ナウ著『アメリカの対外関与――アイデンティティとパワー』は,実務に通じた理論家として名高い著者が,二一世紀のアメリカ外交を,リアリズムとコンストラクティヴィズムの融合をはかりつつ,理論的に分析したものです。そして加茂利男著『世界都市――「都市再生」の時代の中で』は,25年にわたり都市政治を研究してきた著者が,9.11テロ事件をふまえ,世界都市とは何かを問うた注目の書です。
いずれも力作ぞろい。どれかを手にして,この冬,政治とは何かを考えてみせんか。(S)
*弊社のPR誌『書斎の窓』(月刊)に掲載されている,当部の近況案内「編集室の窓」を転載しました。