編集部員より:1年を振り返って
2004年4月に入社し書籍編集という仕事をするようになって,もうすぐ1年が経過しようとしています。その間に数冊の本の編集を先輩社員とともに担当させていただきました。ところで,入社前に想像していた編集者というのは,サザエさんに出てくるノリスケさんのような,著者を追いかけ回して原稿を入手するのに四苦八苦している姿でした。しかし,この1年間でそのような経験はほとんどなく,ひたすら地味なデスクワークが多かったように思います。
いただいたお原稿の整理・割付,ゲラの校正や,レイアウトのコンピュータ・ソフトのプログラミング,練習問題と解答の確認,本文に出てくる数式を追いかけたり,法律の条文との照らし合わせなどなど入社前は想像もしていなかったような仕事が大部分を占めているような気がします。書籍をつくるには,店頭に並んでいる姿からは想像もできないような工程があり,そうしたところで著者の方々や印刷所,製本所の方々などとかかわっていくのだなぁ,とようやく実感できているところです。
これからは,本をつくっていく上で,良い企画案を考えたり,もっと内容面で著者の先生方とお話できるようになっていかなければならないとも思っていますが,現在はそれ以上に,編集者として先生方や周囲の方々から信頼されるためにも,本を世に送り出すための隠れた作業をしっかり身につけたいと思っています。当たり前のことですが,バックグラウンドとなる制作過程の作業や,それを処理するスキルを十分に身つけていかなければ,どんなに良い企画が立てられても,どんなに学問の内容を知っていても,本をつくっていくことはできないような気がしています。
本をつくる方法は1つではなく,実に多様な手段があるということもこの1年で学んだことの1つです。また,現在関わっている本の内容も,学生時代には縁遠かった分野のものが多く,戸惑いつつも新鮮な感じもしています。
まだまだ駆け出しの未熟者。「どこで何が役に立つかわからない」というスタンスを大切にして,方法,内容など,自分が出会ったもの1つひとつを大切にして自分のスキルとして吸収し,自分の選択肢,活動できるフィールドを地道に広げていき,確実なものとしながらこれからの仕事に取り組んいければいいな,と感じた1年間でした。ただそんな中で,本づくりが,単なる事務処理の仕事になってしまわないように,学生時代にどんな本が欲しかったか,自分がどんな分野の本をつくりたいかといった思いを忘れないように取り組んでいきたいと思います。