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「愛・地球博」と銘打って開催中の愛知万博はまた,会場計画や企画内容,決定手続,また開催自体の是非をめぐり,幾多の議論を呼び,変転の波にさらされてきました。この「紛糾」と「合意形成」の歴史の中で明らかになった問題や展望を,当事者の語りを含めて異なる立場や視座から多面的に浮かび上がらせた書が刊行されます。町村敬志・吉見俊哉編『市民参加型社会とは――愛知万博計画過程と公共圏の再創造』です。
市民参加とは何か,市民参加型社会を構想するには何が必要か……。繰り広げられる語りと考察には,歴史的経験を踏まえた重みがあります。社会学的な読み解きの魅力も示されているとともに,本書は,これからの社会を展望するにあたって,私たちに大いなる示唆を与えてくれます。ぜひ,ご精読下さい。
時を同じくして刊行の,後藤和子・福原義春編『市民活動論』は,NPOや創造的都市といった市民活動や市民社会のもつ意義を包括的に解説するものです。社会関係資本や文化資本の視点を取り入れ,NPO,企業,政府の有機的関連に焦点をあてて新たな公共性を追究し,社会,産業,都市の再生を平易に論じています。あわせてご一読いただければ,得るところ大とお薦めいたします。(I)
*弊社のPR誌『書斎の窓』(月刊)に掲載されている,当部の近況案内「編集室の窓」を転載しました。