編集部員より:編集の仕事,悲喜こもごも
私が編集の仕事に携わってから早30年近くになります。その間,嬉しかったこと悲しかったことなど,さまざまな経験をしました。その一端を綴ってみたいと想います。
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私が編集の仕事に携わってから早30年近くになります。その間,嬉しかったこと悲しかったことなど,さまざまな経験をしました。その一端を綴ってみたいと想います。
編集者という職業の楽しみの1つには,多くの著者と会え,話を聞けるということがあると思います。とくに,有斐閣で書いていただく著者は大学の先生方が多く,学問の世界における専門家,その世界の第一人者ばかりで,非常に興味深いお話をお聞きすることができます。また,著者にとっても,われわれ編集者はちょうどよい話し相手でもあるわけでしょう。多少は,学問の世界や教育の現場などについて関心があり,世の中一般についても興味をもっているからです。これが先生方同士ですと,専門分野の細かで難しい議論になってしまうか,専門が違えば大学をめぐるお話をされることが多くなることでしょう。また,学生さんとお話になるときは,やはり先生対学生という関係になりますから,自由に気楽にお話するということは難しいと思われます。そういう意味では,著者も編集者相手にはざっくばらんにいろいろなお話をしやすいという点があると思われます。
二一世紀日本の新しいテキスト・シリーズとして,ここ数年間,わが部が検討を重ねてきたNew Liberal Arts Selectionが,いよいよ登場いたします。高度に専門的な知識を駆使するために必要な,現代人と現代社会に対する全体的な洞察力を養うための,古典的「教養」の枠を超えた大学テキストです。まず,久米郁男・川出良枝・古城佳子・田中愛治・真渕勝著『政治学』を刊行し,以下,新春には無藤隆・森敏昭・遠藤由美・玉瀬耕治著『心理学』を,そして『社会学』,『経済学』等々と続けて刊行いたします。
当該分野を専攻する一年生が初めて出会う専門科目の教科書として,また二~四年生が折にふれひもとく基本書として,さらに諸分野の大学院に進む学生にとって必須の新しい教養書として,大学四年間,手元に置いてくりかえしお読みください。
また昨夏,刊行と同時に大好評を博し,その後の原著の改訂を織り込んで新版化作業を進めておりましたジョセフ・S・ナイ著/田中明彦・村田晃嗣訳『国際紛争』の「原書第4版」も,ようやく刊行となります。ご期待ください。(S)
*弊社のPR誌『書斎の窓』(月刊)に掲載されている,当部の近況案内「編集室の窓」を転載しました。