編集室の窓:『書斎の窓』2003年5月号に掲載
今年の2月に「法と経済学会」が設立されました。最近注目されている「法と経済学」の研究の促進が新学会創設の目的とされています。「法と経済学」とは,法の経済効果を主にミクロ経済学の手法を用いて分析するもので,法令や判例が社会的な富の増減にどのような影響を与えるかを考察する学問です。現実の法解釈や裁判実務をより客観的なものとしていくためにも,さらに法案の作成においてその影響を実証的に検証するためにも,大きな役割を担うものといえましょう。
そうしたなか,『規制改革 「法と経済学」からの提言』という時宜を得た書籍が刊行されました。著者は,「法と経済学会」の理事も務められている八代尚宏先生です。先生は規制改革・構造改革に対して常に積極的にご発言されておられますが,今回のご著書では規制改革の争点を幅広く取り上げ,「法と経済学」のアプローチに従って綿密に分析し,具体的に政策提言されています。社会問題に対処するための車の両輪である法学と経済学について,経済学の論理を包括的に提示することによって,そのギャップを埋めることをめざした力作です。社会制度のあり方を考える人に必読の書物です。是非ご一読ください。 (S)
*弊社のPR誌『書斎の窓』(月刊)に掲載されている,当部の近況案内「編集室の窓」を転載しました。